こんにちは。みわ記念病院から年末年始休診のご案内です。
令和7年12月29日(月)まで通常通り診療
令和7年12月30日(火)~令和8年1月4日(日)の間、休診
令和8年1月5日(月)より通常通り診療
ご迷惑をおかけいたしますが、ご協力をよろしくお願いいたします。
こんにちは。みわ記念病院から年末年始休診のご案内です。
令和7年12月29日(月)まで通常通り診療
令和7年12月30日(火)~令和8年1月4日(日)の間、休診
令和8年1月5日(月)より通常通り診療
ご迷惑をおかけいたしますが、ご協力をよろしくお願いいたします。
令和7年10月1日から令和8年1月31日まで
接種日に次の①または②に該当する方
①満65歳以上の方
②満60歳以上65歳未満で心臓・腎臓・呼吸器またはヒト免疫不全ウイルスによる免疫の機能に障害を有する方(該当の障害単独で身体障害者手帳1級程度)
・自己負担額は市町村により異なります(浅口市の方は5,000円)
※上記の対象者以外の方は、任意の予防接種となります。
料金:15,000円
こんにちは。みわ記念病院から令和7年度インフルエンザ予防接種のご案内です。
令和7年10月1日からワクチンがなくなるまで
当院は予防接種の予約やワクチンの取り置きをしておりません。
ワクチンがなくなり次第、終了になります。診察時間内にお越しください。

| ・一般の方 | 1回 4,200円 |
|---|---|
| ・13歳未満の方 | 1回 3,600円 |
※13歳未満のお子様は、2回接種が必要です。
岡山県内にお住まいの65歳以上の方は公費の補助があり、低料金で接種できます。
但し、自己負担額は市町村により異なりますので、受付でご確認ください。
予防接種後、抵抗力がつくまでに約2週間かかります。接種を希望される方は、お早めにお受けください。
令和7年5月15日(木)より、糖尿病専門外来を開始いたします。
糖尿病に関するお悩みや治療について、専門医が丁寧に診察いたします。
診察日:毎週木曜日
時間:15:00~18:00
担当医:糖尿病専門医 石田 俊彦 医師
ご予約・お問い合わせは当院までお気軽にどうぞ。

心不全通信 No.13 2024年2月号を公開しました。
今回は「ステージB」について説明します。
ステージBは、心臓に器質的な疾患があるけれども、まだ心不全の症状はない状態で、心不全の前段階と言えます。
そのため、ステージBでは、器質的な心疾患の悪化を予防し心不全にならないようにすることが治療目標となり、ステージAの療養(心不全のリスクとなる高血圧、脂質異常、糖尿病などの予防や治療)を継続しながら、「器質的な心疾患に対する治療」、「心不全を早期に発見するための検査」、「心臓リハビリテーション」などを行います。
心不全の原因となる主な器質的な心疾患には、「虚血性心疾患」、「弁膜症」、「不整脈」、「心筋症」などがあります。
狭心症とは、冠動脈に狭窄があり、心筋が必要とする量の酸素が供給されない(心筋虚血)ために、前胸部などに狭心痛が生じる病気です。
狭心痛は、前胸部を中心に、圧迫感、絞扼感、灼熱感などの不快感のことで、頸部、顎関節や左肩などに痛みを感じることもあります。
狭心症には、安定狭心症、不安定狭心症、冠攣縮性狭心症などがあります。
安定狭心症は、狭心症が出現する労作の程度がほぼ同じで、安静にすると数分で症状が消失します。
粥状(アテローム)動脈硬化によって冠動脈にプラークと呼ばれるコブのようなものができて、内腔が狭くなることが原因です。
労作時には血圧と心拍数が上昇して心筋が必要とする酸素の量も増えますが、冠動脈に狭窄があると労作時に必要な血液・酸素を心筋に供給することができず、心筋は血液・酸素不足(心筋虚血)となり、狭心痛がでます。
狭心痛が出た時には、症状が治まっても、急性冠症候群に進展することもあるので、必ず受診しましょう。
安定狭心症では、原因となる動脈硬化の進展を予防するためにLDL-コレステロールを下げる薬(スタチン製剤)や細くなった冠動脈に血栓ができないようにする抗血小板薬を使用します。
不安定狭心症は、プラークが破れ始めていたり、それに続いて血栓ができることで冠動脈が非常に狭くなったりしている状態で、心筋虚血により急性心不全を起こすことがあります。
血栓が冠動脈を閉塞して心筋梗塞を起こし、突然死を起こすリスクも高いです。
既に安定狭心症の治療をしていても、生活習慣の改善が不十分であったり、自己判断で薬を中断したりすると、不安定狭心症になってしまうことがあります。特に、高血圧、糖尿病、高脂血症、肥満がある人では注意が必要です。
安定狭心症から不安定狭心症になると、狭心痛が労作時だけでなく、食後や入浴時など安静にしている時にもあらわれることがあります。
症状が治まるまでの時間が長くなった場合には早めに受診しましょう。
狭心痛が20分以上続くときは、心筋梗塞を起こしている可能性もあるので、迷わず救急車を呼びましょう。
不安定狭心症による心筋梗塞のリスクが非常に高い場合には、カテーテル治療(狭くなった冠動脈を拡げる)やバイパス手術(血液が流れにくくなっている冠動脈をう回する血管を作る)をします。
手術をしても心筋梗塞の発症のリスクを減らすために、スタチン製剤や抗血小板薬などを服用します。
冠攣縮とは、心臓の表面にある比較的太い冠動脈が一過性に異常に収縮した状態です。
冠攣縮により、心筋での酸素の供給と需要のバランスが崩れ、心筋虚血となり、急激に心ポンプ機能が悪化して急性心不全になることがあります。
冠攣縮狭心症の予防は、生活習慣を改善(禁煙、血圧管理、適正体重の維持、耐糖能障害・脂質異常の是正、過労・精神的ストレスの回避、節酒など)することであり、なかでも喫煙は非常に重要です。
カルシウム拮抗薬や硝酸薬などの薬を冠攣縮の予防ために使用します。
急性冠症候群は、急性心筋梗塞、不安定狭心症、心臓突然死を含めた一連の症候群のことです。
急性心筋梗塞を起こすと急激に心ポンプ機能の失調をきたして心不全を合併します。
前胸部を中心とした圧迫感、絞扼感、灼熱感があり、冷汗を伴う、10~30分以上持続する、より軽度の労作や安静時にも生じるようになったなどの場合や新たにこれらの症状が出現するようになった場合には急性冠症候群が疑われます。
このような場合には、できるだけ早期に冠動脈の血流を再開させて心筋梗塞で壊死する心筋の量をできるだけ少なくするために、心臓突然死を回避するために、迷わず救急車を呼びましょう。
弁の機能異常により心臓からの血液の駆出が障害される病気で、弁狭窄と弁閉鎖不全があります。
弁狭窄では、弁のところが狭くなっており、血液を駆出するために心筋は通常より強い力で収縮しなければならず、心筋に圧負荷がかかります。
弁閉鎖不全では、駆出した血液が逆流してくるので1回に駆出しなければいけない血液の量が増えて、心筋に容量負荷がかかります。
慢性的な圧負荷や容量負荷により、心筋が障害されて心臓の代償機転が破綻すると心不全になります。
僧帽弁の狭窄により、拡張期の左房から左室への血液の流入が障害され、心拍出量の低下や左房圧上昇に伴う肺うっ血を引き起こします。
さらに進行すると肺高血圧から右心不全になります。
左房が拡大して心房細動を合併することが多く、左房内にできた血栓による塞栓症を起こすことがあります。
僧帽弁の癒合・石灰化が原因ですが、リウマチ熱によるものは減少傾向で、高齢者や腎不全による僧帽弁輪石灰化が増えてきています。
外科的手術に加え、僧帽弁の形態によってはバルーンを用いたカテーテル治療が有効な場合があります。
僧帽弁の閉鎖が不完全なために、収縮期に左室から左房へ血液が逆流する病気です。
僧帽弁閉鎖不全症は、器質性と機能性に分類されます。
| 器質性僧帽弁閉鎖不全症の原因 | 機能性僧帽弁閉鎖不全症の原因 |
|---|---|
| 僧帽弁の左心房側への逸脱、弁穿孔、腱索断裂など | 弁に器質的異常はないが、左室の拡大で僧帽弁の腱索が引っ張られて生じる |
僧帽弁の閉鎖不全が徐々に進行した場合、左室・左房は容量負荷に対する代償機構として拡大するので、長期にわたって無症状のことが多いです。
代償機構が破綻すると左房圧が上昇し、心房細動になったり肺動脈圧が上昇したりして心不全になります。
手術治療が第一選択ですが、高齢などで手術ができない場合で僧帽弁閉鎖不全を改善すると症状の軽快が期待できる場合は、カテーテルを用いて僧帽弁尖をクリップで摘まむ経皮的僧帽弁接合不全修復システムMitraClipを使用することもあります。
大動脈弁口の狭小化により左室から体循環への血液の駆出が障害をきたす病気です。
収縮期に左室と大動脈の間に圧較差を生じ、心拍出量を保つために左室収縮圧が上昇します。
初期には左室が肥大することによる代償機転が働き無症状ですが、最終的には心拍出量が低下して心不全になります。
以前はリウマチ性、先天性弁異常などが主な原因でしたが、現在では高齢化による加齢変性が主な原因です。
一般的には、大動脈弁置換手術が行われますが、経カテーテル大動脈弁置換術TAVIが行わることも多くなってきています。
大動脈弁の閉鎖が不完全なために拡張期に大動脈から左室に血液が逆流し、前方への駆出の低下と逆流により左室に容量負荷がかかる病気です。
発症の形式により急性と慢性に分類されます。
慢性の大動脈弁閉鎖不全では、左室は容量負荷に対して、左室拡大により長期に代償することができるので、その間は無症状です。
代償しきれなくなって左室機能が低下すると心不全になります。
急性の大動脈弁閉鎖不全では、代償機転としての左室拡大が働かないため、左室拡張期圧の急激な上昇を生じ、前方駆出の低下、急性肺水腫や心原性ショックを引き起こします。
標準治療は外科手術で、大動脈弁置換手術です。
心臓は、拍動(収縮と弛緩を定期的に繰り返すこと)により血液を全身に送り出しています。
この拍動は、右心房にある洞結節で作られた電気信号が刺激伝導系を通り、秩序良く、タイミング良く心臓の中を伝わって、心筋が収縮・弛緩すること(心臓のポンプ機能)によって作られます。
不整脈は、この電気信号やその伝わり方の異常によって起こり、頻脈、徐脈、期外収縮があります。
健康な人でも、睡眠不足やアルコールの過剰摂取、過労などによって不整脈が起こることがあります。
ほとんどの不整脈は問題のないものですが、突然死を引き起こすものもあるので注意が必要です。
| 頻脈 | 脈が速くなる |
|---|---|
| 徐脈 | 脈が遅くなる |
| 期外収縮 | 予想されたよりも早く脈が出る |
不整脈の自覚症状でもっとも多いのは「動悸」と「めまい」です。
動悸は、「胸がドキドキする」、「早鐘のような感じ」、「心臓が一瞬止まってから飛び跳ねるような感じ」、「心臓が大きく波打つ」など人によって感じ方は様々です。
不整脈により血圧が低下して脳への血流量が低下すると、「めまいがする」、「一瞬目の前が暗くなる」、「気が遠くなる」、「ふらつく感じがする」などの症状や一過性の意識消失(失神)を起こすこともあります。
心房細動は、心房が小刻みに震えるように収縮する病気で、多くの場合、脈の乱れを伴う動悸を自覚します。
肺静脈内で起きた期外収縮が強く関与しており、洞結節からの電気信号が房室内で消失し、複数の興奮波が心房内を旋回することで起こり、頻拍や不規則な心室収縮を引き起こし心機能が低下します。
心房細動により血行動態に障害が出ている場合は、速やかに電気的除細動を行います。
治療としては、抗凝固療法に加えて、レートコントロールやリズムコントロール、カテーテルアブレーションなどを行います。
心房細動により心房収縮が消失すると、左心耳血栓が形成されやすくなり、できた血栓が血流により運ばれて、脳梗塞のリスクが高くなるので、心房細動においては抗凝固療法が重要です。
慢性心不全で心房細動を併発しているけれど自覚症状が軽度で血行動態も安定している場合には、経口β遮断薬を使用して、心拍数が適正になるようにします。
薬剤によるレートコントロールが困難な場合や洞調律維持が血行動態や心不全管理から有益であると判断される場合には抗不整脈薬によって、リズムコントロール(心房内の異常な電気信号の伝導を正常にする)を行います。
カテーテルアブレーションは、心房細動の原因に対する治療で、カテーテルを足のつけ根の血管から挿入し、心臓内の組織を焼くことで、不整脈を引き起こす異常な電気信号の広がりを防ぐ治療です。
心房細動による症状がある人では薬物療法よりカテーテルアブレーションが行われていますが、最近では症状がなくてもカテーテルアブレーションが行われるようになっています。
徐脈は、主に「洞結節」や「房室結節」の異常で起こります。
洞結節の異常で生じるのが洞不全症候群で、房室結節の異常で生じるのが房室ブロックです。
右心房にある洞結節に異常が生じ、心臓を動かす電気信号の発生回数が極端に少なくなったり、発生できなくなったりすると徐脈になります。
徐脈になると、脳虚血症状(めまい、意識消失[失神]、痙攣)や心不全症状を起こすことがあります。
房室ブロックとは、心房から心室への興奮伝導が房室結節やヒス束で遅延・途絶することで、それにより心室の収縮回数が減って脈拍数が少なくなります。
房室ブロックは、心筋虚血、高カリウム血症、薬剤(β遮断薬、カルシウム拮抗薬、ジギタリス製剤、抗不整脈薬)、内分泌疾患(甲状腺機能低下症)などで起こります。
必要に応じて房室ブロックの原因への治療や徐脈を助長する薬剤を減量します。
徐脈であっても直ちに命に関わることは少ないので、自覚症状がなければ様子をみますが、脳虚血症状(めまい、意識消失[失神]、痙攣)や日常生活に支障が出る程度の強い息切れやだるさなどの症状がある場合にはペースメーカーの植込みを検討します。
心臓に器質的疾患がある場合は、心不全を発症することがあります。
そのため、毎日の自覚症状のチェックと定期的な受診での心不全バイオマーカー検査や心臓超音波検査によって、心不全を早期に発見し、原因疾患の治療や進展ステージに応じた心不全の治療を行う必要があります。
| 心不全バイオマーカー | |
|---|---|
| BNP | B型ナトリウム利尿ペプチド |
| NT-proBNP | N末端プロBNP |
心疾患やその危険因子の療養では、薬物治療のみでなく、食生活や禁煙、節酒、減量など生活習慣の是正や心理的ストレスへのマネジメント、運動療法などの多面的な対応が必要です。
心臓リハビリテーションとは、このような心疾患やその危険因子に対する長期にわたる包括的な療養支援のことで、運動療法のみでなく、服薬指導、食事指導、禁煙指導、疾病教育などを体系的に実施します。
心臓リハビリテーションについて、もっと知りたい方は、心不全外来の担当医に、ご相談ください。
次回は、『ステージC』について説明します。
【参考資料】
【参考ホームページ】
新型コロナウイルス感染症の後遺症でお悩みの方へ。
当院では、新型コロナウイルス感染症罹患後の症状について悩まれている方の診療をしております。
| 診療日 | 月曜日 15:00~17:00 【予約制】0865-42-5000 |
|---|---|
| 担当医師 | 山本 紘一郎(岡山大学病院 総合内科・総合診療科) |
| 対象 | 新型コロナウイルス感染症の発症もしくは診断日から28日間(4週間)以上経過 ※高校生以上 |
※通院中の持病をお持ちの方は、かかりつけ医の先生からの紹介状をお持ちください。
参照(岡山県ホームページ)
https://www.pref.okayama.jp/page/767801.html

心不全通信 No.12 2023年10月号を公開しました。
今回は「ステージA」について説明します。
ステージAは、心不全のリスクはあるけれども、心不全はまだ発症していない状態です。
そのため、心不全のリスクとなる疾患の予防・治療が治療目標となります。
心不全のリスクには、高血圧、脂質異常、糖尿病・耐糖能異常、運動不足、喫煙、肥満などがあります。
血圧は、正常血圧、正常高値血圧、高値血圧、高血圧(Ⅰ度、Ⅱ度、Ⅲ度)、収縮期高血圧に分類されます。
診察室での収縮期血圧(最大血圧)が120mmHg未満で、さらに拡張期血圧が80mmHg未満であると正常血圧、収縮期血圧が140mmHg以上か拡張期血圧が90mmHg以上であると高血圧となります。
自宅で測る家庭血圧では、診察室よりも5mmHg低い、収縮期血圧115mmHg未満かつ拡張期血圧75mmHg未満が正常血圧です。
高血圧の予防に欠かせないのは、食塩摂取量の制限です。
食塩摂取の目標量は、「健康日本21(第二次)」では8g未満、「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、成人男性で7.5g未満、成人女性で6.5g未満とされています。
また、日本高血圧学会は、高血圧の減塩目標を1日6g未満にするべきとしています。
減塩のコツを知りたい方は、管理栄養士にご相談ください。
商品に記載される栄養成分表示は、ナトリウム(mg)で表示されていることがあります。
以下の式を用いて、食塩相当量を算出することができます。
食塩相当量(g) = ナトリウム量(mg) × 2.54 / 1,000
高血圧の人は4,300万人くらいいるとされており、そのうち40%くらいは高血圧の治療をしていません。
高血圧は自覚症状がほとんどないのですが、生活習慣病に関連した死亡に、喫煙とともに最も影響します。
もし完全に高血圧を予防できると、年間10万人以上の人が死亡せずに済むとの推計もあります。
高血圧は、必ず治療をしましょう。
脂質異常とは、血液中の脂質の値が基準値から外れた状態のことで、LDL コレステロール(いわゆる悪玉コレステロール)、HDL コレステロール(いわゆる善玉コレステロール)、トリグリセライド(中性脂肪)の異常などがあり、いずれも動脈硬化と関連しています。
脂質異常の診断基準は表のとおりですが、この基準に当てはまると、すぐに薬物治療が必要というわけではありません。
まず、食事療法・生活習慣の改善を試みて、それでも不十分な場合に薬物治療を始めます。
| LDLコレステロール | |
|---|---|
| 140mg/dL以上 | 高LDLコレステロール血症 |
| 120~139mg/dL | 境界域高LDLコレステロール血症 |
| HDLコレステロール | |
|---|---|
| 40mg/dL未満 | 低HDLコレステロール血症 |
| トリグリセライド | |
|---|---|
| 150mg/dL以上(空腹時採血) | 高トリグリセライド血症 |
| 175mg/dL以上(随時採血) | |
| Non-HDLコレステロール | |
|---|---|
| 170mg/dL以上 | 高non-HDLコレステロール血症 |
| 150~169mg/dL | 境界域高non-HDLコレステロール血症 |
食事で飽和脂肪酸を摂りすぎるとLDLコレステロールが高値になることがあります。
飽和脂肪酸は、肉の脂身(赤身ではなく白い部分。 バラ肉、ひき肉、鶏肉の皮も含む)・バターやラード・生クリームなどに多く含まれ、パームヤシやカカオの油脂、インスタントラーメンなど加工食品にも含まれています。
冷蔵庫の中で固まっている油脂は、飽和脂肪酸の多い油脂であることが多いです。
食事からのコレステロールもLDLコレステロールを高くしますが、個人差が大きく、飽和脂肪酸と比べると、その影響は小さく、食事からのコレステロールの上限に定まった見解はありません。
食事からの飽和脂肪酸と血中コレステロールとの関係は、食事からのコレステロールと血中のコレステロールとの関係よりも強く、LDL コレステロールが高い人は、まず飽和脂肪酸の摂りすぎを改善するべきで、鶏卵などコレステロールの多い食品の食べすぎにも注意すると良いでしょう。
家族性高コレステロール血症は、300 人に1人程度と比較的高頻度の遺伝性疾患です。
LDL コレステロールが高くなり、若い時から動脈硬化が進み、血管が細くなったり詰まったりする病気で、冠動脈で起こることが多く、心筋梗塞や狭心症を起こしやすくなります。
コレステロールが高く、若くして心筋梗塞、狭心症などを発症した血縁関係の人(親、兄弟、叔父、叔母、祖父母、子供など)がいる方は、特に注意が必要です。
家族性高コレステロール血症について、詳しく知りたい方は、当院循環器医にご相談ください。
エネルギーを摂りすぎる、特に甘いものや酒・油もの・糖質を摂りすぎると中性脂肪が高値になることがあり、砂糖の入ったソフトドリンクを飲む習慣のある人に中性脂肪が高い人が多い傾向があります。
糖質の摂りすぎなどの食事習慣を改善し運動や減量を行うと、中性脂肪を下げることができます。
また背の青い魚に多く含まれるn-3 系(ω-3系)多価不飽和脂肪酸には、中性脂肪を下げる働きもあります。
HDL コレステロール低値は中性脂肪の高値と連動することが多く、その要因は肥満や喫煙・運動不足なので、運動や減量・禁煙によりHDLコレステロールの上昇が見込まれます。
飲酒によりHDLコレステロールが高くなることがありますが、飲酒は高血圧や肝障害を悪化させるので、HDLコレステロールを上昇させるために飲酒するべきではありません。
炭水化物は消化酵素によりブドウ糖に分解されて腸から吸収され血液の中に入ります。
血液中のブドウ糖の量が増えると膵臓からインスリンというホルモンが分泌され、血液中のブドウ糖を速やかに細胞内に取り込ませるように働きます。
ヒトは細胞に入ってきたブドウ糖をエネルギー源として利用して、筋肉を動かしたり、脳を働かせたりしています。
糖尿病は、インスリンの量が少なくなったり、その効きが悪くなったりして、血液中のブドウ糖が細胞に入ることができず、血液中のブドウ糖の量が多くなりすぎる病気です。
細胞に入ったブドウ糖はエネルギー源となりますが、細胞に入らない血液中のブドウ糖の量が多くなりすぎると、血管を傷つけたり、動脈硬化のリスクとなり、脳卒中や虚血性心疾患、失明や透析につながる糖尿病の3大合併症(網膜症、腎症、神経障害)が起こりやすくなります。
血液中のブドウ糖の濃度のことを血糖値といいます。
空腹時の血糖値が126mg/dL以上、食事をとった後に測った血糖値(随時血糖値)が200mg/dL以上、あるいはHbA1cが6.5%以上と確認された場合には糖尿病である可能性が高くなります。
糖尿病の明らかな症状がある場合を除き、複数回の検査結果を総合的に判断して糖尿病と診断します。
特定健診では、血糖値異常を早期に発見するために、空腹時血糖値100mg/dL以上またはHbA1c 5.6%以上を高血糖の基準としています。
| 血糖測定時間 | 判定区分 | |||
|---|---|---|---|---|
| 空腹時 | 負荷後2時間 | |||
| 血糖値 | 126mg/dL以上 | ◀または▶ | 200mg/dL以上 | 糖尿病型 |
| 糖尿病型にも正常型にも属さないもの | 境界型 | |||
| 110mg/dL未満 | ◀または▶ | 140mg/dL未満 | 正常型 | |
糖尿病の予防のためには、摂取エネルギー量をとりすぎないこと、運動をすること、アルコールをとりすぎないこと、喫煙しないこと、野菜や大豆製品、海藻、きのこなどを多くとることなどがあげられます。
特に、砂糖の入った飲み物をとりすぎる習慣のある人は、糖尿病のリスクが高まります。
肥満も糖尿病のリスクを高めますが、日本人ではやせていても糖尿病になりやすい人がいますので、肥満や過体重のない人でも注意が必要です。
HbA1cとは、ブドウ糖と結合しているヘモグロビンの割合のことです。
血糖値が高い状態が続くと、ブドウ糖と結合しているヘモグロビンが多くなりHbA1cが高くなります。
HbA1cは、だいたい2ヶ月くらいの血糖を反映しています。
血糖値は食事の影響によりその時々で変化しますが、HbA1cは直前の食事の影響を受けにくいので、糖尿病の指標として検査でよく利用されています。
喫煙は心臓や脳に悪い影響を与え、心臓病や脳卒中の原因となります。
タバコの煙に含まれるニコチンは中枢神経を興奮させ、心拍数増加、末梢血管の収縮、血圧の上昇などを起こし心臓に大きな負担をかけます。
タバコの煙に含まれる一酸化炭素は、赤血球のヘモグロビンと結びつき、血液が酸素を運ぶ働きを妨げ、血管を詰まりやすくし、動脈硬化を促進させます。
喫煙は心臓病や脳卒中以外にも肺がんなどの悪性腫瘍や胃潰瘍・十二指腸潰瘍などの消化器の病気、喘息・慢性気管支炎などの呼吸器の病気、歯周病など、さまざまな病気の発症に深くかかわっています。
タバコの煙には、喫煙者がフィルターを通して直接吸い込む「主流煙」と、火のついた部分から立ち上る「副流煙」があり、ニコチンなどの有害物質が含まれる量は主流煙より副流煙の方がはるかに多く、喫煙は喫煙者だけでなく周囲の人の健康にまで悪影響を及ぼしています。
喫煙しない人が喫煙者と同じ空間にいて、副流煙を吸い込んでしまうことを受動喫煙といいます。
受動喫煙は、既に心臓病を患っている人に心筋梗塞などの発作を起こしやすくし、喫煙しない人の心筋梗塞、脳卒中、肺がんなどよる死亡のリスクを高めます。
受動喫煙の影響を最も受けやすいのは同じ家で暮らしている家族です。
親が喫煙者だと、その子供は気管支炎やぜんそく、アトピー性皮膚炎にかかりやすく、成長や視力、知能の発達にも悪い影響を及ぼすといわれています。
適量の飲酒は心筋梗塞などの発症リスクを下げ循環器疾患に保護的に働くとされていますが、過度の飲酒は循環器疾患のリスクになり、少量の飲酒でも結核や乳がんなどリスクを上昇させることがあるので、「節度ある適度な飲酒」を守ることが肝要です。
当然、現在飲酒していない人や飲めない人に飲酒を強要すべきではありません。
2022年1月、世界心臓連合WHF は、適量の飲酒は心臓病のリスクを低下させるという広く信じられている考えに異議を唱えました。
「どの程度の飲酒量であっても、健康に生きられる時間を損なう原因になりうる。少量の飲酒でも、冠動脈疾患、脳卒中、心不全、高血圧性心疾患、心筋症、心房細動、動脈瘤などの心血管系疾患のリスクを高めることが様々な研究から明らかになっている。」ので、「心臓によい飲酒量などない。」と結論し、世界中で起こっているアルコール関連死や障害の過去に類を見ない増加に取り組むための緊急かつ決然とした行動を呼びかけました。
今後、飲酒の循環器疾患に対する見解が変化してくるかも知れません。
口から入ったアルコールは胃から20%、小腸から80%が吸収され、その大部分が肝臓で処理されます。
アルコールはアルコール脱水素酵素ADHなどによってアセトアルデヒドに、アセトアルデヒドはアルデヒド脱水素酵素ALDHにより酢酸に、酢酸は水と二酸化炭素に分解され、最後は汗や尿、呼気中に排出されます。このアセトアルデヒドが飲酒した時の悪酔いや頭痛、動悸の原因です。
悪酔いの原因となるアセトアルデヒドを分解するアルデヒド脱水素酵素ALDHには、アルデヒド濃度が低い時に働くALDH2と、高濃度にならないと働かないALDH1があり、ALDH2の活性が弱いか欠けていると、アセトアルデヒドが貯まりやすく、「お酒に弱い体質」になります。
ALDH2の活性は遺伝し、日本人の半数近くの人でALDH2の活性が弱いか欠けています。
ALDH2が欠けている人は、いくら訓練してもお酒に強くなることはないので、飲酒の無理強いをしてはいけません。
ところが、アルコールで全身の臓器に障害をきたすのは、むしろ「お酒に強いと言われる体質」の人なので注意が必要です。
身体活動(生活活動と運動を合わせたもの)を増加させると循環器疾患のリスクを減らすことができます。
「健康づくりのための身体活動基準2013(厚生労働省)」では、18~65歳の方は1週間に23メッツ・時、65歳以上の方は1週間に10メッツ・時の身体活動を薦めています。
安全で適正な運動強度での運動(有酸素運動、筋力トレーニング、バランストレーニングなど)を、生活習慣や嗜好を考慮して日常生活の中で行うと良いでしょう。
運動について詳しく知りたい方は、理学療法士にご相談ください。
| 有酸素運動 | 歩行、自転車エルゴメーター、リズミカルな体操など |
|---|---|
| 筋力トレーニング | 自身の体重やゴムバンドなどを使用する運動 |
| バランストレーニング | つま先と反対のかかとを揃えた立位など。 転倒防止にもなります。 |
メッツMETsとは身体活動(生活活動と運動を合わせたもの)の強度を表す単位で、国際的に使用されています。
安静時(静かに座っている状態)を1メッツとし、身体活動が安静時と比較して何倍のエネルギーを消費するかを表しています。安静時の2倍のエネルギーを消費する身体活動であれば2メッツとなります。
運動しているときの感覚で、「楽」に感じれば3メッツ、「やや楽」なら4メッツ、「ややきつい」なら5メッツという捉え方をしても良いです。
このメッツ(運動強度)に実施時間を掛けると、「メッツ・時」という身体活動量を計算できます。
| メッツ | 生活活動の例 |
|---|---|
| 1.8 METs | 立ち話、立って電話をする、皿洗い |
| 2.0 METs | 非常にゆっくりした歩行(家の中)、料理や食材の準備、洗濯 |
| 2.3 METs | ガーデニング、動物の世話、ピアノの演奏 |
| 2.5 METs | 植物の水やり |
| 3.0 METs | 普通の速さの歩行(67m/分)、犬の散歩、電動自転車に乗る、立ってギターの演奏 |
| 3.3 METs | 掃除機かけ、体を動かすスポーツ観戦 |
| 3.5 METs | 散歩(75~85m/分)、モップかけ、床磨き、風呂掃除、庭の草むしり、車椅子を押す |
| 4.0 METs | 自転車に乗る(16km/時未満)、階段をゆっくり上る |
| 5.0 METs | 動物と活発に遊ぶ(歩く/走る) |
| 5.8 METs | 子どもと活発に遊ぶ(歩く/走る) |
| 8.3 METs | 荷物を上の階に運ぶ |
| 8.8 METs | 階段を速く上る |
| メッツ | 運動の例 |
|---|---|
| 2.3 METs | ストレッチ |
| 2.5 METs | ヨガ、ビリヤード |
| 3.0 METs | 社交ダンス、太極拳 |
| 3.5 METs | 軽い筋トレ、家での軽い体操 |
| 4.0 METs | 卓球、ラジオ体操第1 |
| 4.3 METs | やや速めに歩く(94m/分) |
| 4.5 METs | 水中歩行、ラジオ体操第2 |
| 5.0 METs | かなり速く歩く(107m/分) |
| 6.0 METs | ゆっくりとしたジョギング、のんびり泳ぐ |
| 6.5 METs | 山登り(4kg未満の荷物を持って) |
| 7.0 METs | ジョギング、スキー |
| 8.0 METs | サイクリング(約20km/時) |
| 8.3 METs | ランニング(134m/分) |
次回は、『ステージB』について説明します。
【参考資料】
【参考ホームページ】