心不全通信 No.4「心不全増悪の誘因」
心不全通信 No4 2021年4月号を公開しました。
心不全とは
心不全は「心臓が悪いために、息切れやむくみが起こり、だんだん悪くなって、生命を縮める病気」です。
心不全は完治することはなく、悪化と緩解を繰り返しながら、少しずつ進行してゆきます。
心不全の進行を遅らせるには、心不全の悪化を繰り返さないことが大切です。
心不全増悪の誘因
心不全増悪の誘因には、医学的誘因と生活関連誘因があります。
医学的誘因
心臓自体への血液の供給不足
動脈硬化があると心臓自体への血液の供給に不足を起こすことがあります。
動脈硬化に繋がる高血圧、糖尿病、脂質異常症などをきちんと治療し、禁煙することが大切です。
不整脈
不整脈には危険性の低いものとそうでないものがあります。
危険性の高い不整脈の1つに心房細動があります。
不整脈に伴う症状(突然の動悸、脈が飛ぶ・乱れる、めまい、ふらつき、急に目の前が暗くなる、意識がなくなるなど)がある時は受診しましょう。
貧血
貧血があると全身に必要な酸素の供給が不足し、全身倦怠感や疲れやすくなります。
慢性腎臓病の合併によるエリスロポエチン(赤血球を作る指定を出している物質)の低下、骨髄の造血能力の低下、鉄の欠乏などが貧血の原因です。
貧血の傾向がある時は、鉄分の多い食品を食べるように心がけましょう。
感染症
感冒やインフルエンザ、肺炎、膀胱炎などの感染症にかかると心臓の機能を抑制することになり、心不全の増悪につながります。
インフルエンザワクチンや肺炎球菌ワクチンを接種して感染症を予防しましょう。
生活関連誘因
心不全のセルフケアにより、心不全増悪による入院の多くは回避することができます。
薬をきちんと飲まない
心不全の予後を改善する薬の中断は、心機能を低下させたり、心臓の負担(血圧上昇、頻脈など)を増したりして心不全を増悪させます。
薬を飲みたくない時、飲み忘れてしまう時は、医師・薬剤師・看護師に相談しましょう。
塩分の過剰摂取
塩分の摂取が増えると血液中の水分が増えて循環血液量が増えます。
循環血液量が増えると血液が上昇し、心臓への負担が増し、心不全が増悪することがあります。
慢性心不全の人の減塩目標は6g/日未満です。
上手に減塩する方法を知りたい時は、医師・看護師・管理栄養士に相談しましょう。
水分の過剰摂取
医師からの指示がなければ、厳密な水分摂取の制限は必要ありません。
1日尿量よりも飲水量が多いと循環血液量が増えて心臓の負担が増加するので、1日の尿量を超える飲水は控える方が良いでしょう。
活動しすぎ
適度な運動は、日常生活の維持・拡大に有効で、予後の改善にもつながります。
過度な活動な、心拍数を増やし、血圧を上昇させ、心臓への負担を増やして心不全を増悪させることがあります。
適切な活動量は心不全の状態によって異なります。
あなたにとって適切な運動量・活動量を知りたい時は、医師・看護師・理学療法士に相談しましょう。